不変
懐かしさを覚えたのは久しぶりに見上げた空に。
遠い日を見たからかもしれません。
おじいちゃんが仕事でいない時は。
自転車に防具袋をくくり付け。
母親が作ってくれた足止めを。
袴履きの両足に巻き付けて。
自転車こいで体育館まで行きました。
心配性のおばあちゃんが途中まで一緒に来てくれていたことも後から聞きました。
仕事を終えた母親が稽古終わりに防具だけ車に積んでくれ。
家路までの坂道風が気持ちよかったのを今でも覚えています。
父親は数えるほどしか来ませんでしたが。
剣道そっちのけで。
小さい子と遊んだり。
近くでやっていたテニスを見ていたりと。
その距離感も良かったのかもしれません。
剣道が嫌になった時。
母親は防具を窓から投げ捨てました。
熱があっても稽古に行かされましたが。
素振りを受けてもらった記憶も薄っすらと。
それでも試合に勝ちなさいとは一度も言われたことはありません。
剣道をしてこなかった人だから純粋に逞しく育って欲しかったのだと思います。
小さい時の記憶は途切れながらも。
確かに心の中にありました。
変わらない茜の空にうろこ雲。
幼き日の心に戻り。
家族に見守られていたことを思い出しました。
だからこれからも一生懸命剣道を学びたいと思います。
ありがとうを永遠に。
刻。