唯心会の剣道日記

私たちは滋賀で活動する剣道の稽古会です。大人から子供まで共に剣を交えることで、心豊かな人間形成を目指し、日々の稽古に取り組んでいます。

育成

6月14日
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裸子植物ソテツ科の常緑低木のソテツ君。
漢字では蘇鉄と書きます。
我が家が完成した約10年前にやって来ました。
少し細長いのと。
背丈が低めのどっしりさん。
日本の四季を逞しく生き抜いていましたが。
寒さに負けたのか。
早く葉を落とし過ぎたか。
ここ数年芽吹かず終い。
特に細長いのは。
色も屍人のように。
硬かったはずの葉元もブヨブヨに。
もうダメかと諦め半分。
ボロボロと手でも取れる部分があったので。
思い切って取り除いてみました。
変わり果てた姿になったけど。
見守りました。
何の変化もないまま数ヶ月。
家内の好きな紫陽花が綺麗な紺藍を奏で出した頃。
そろそろ潮時かと力を加えるも。
大地に根付いた芯は強く。
命を感じたのでもう暫くと時を待つと。
朽ち果てた幹の。
ほんの僅かな隙間から。
小さな小さな芽のようなものが顔を覗かせました。
これが一体何なのかまだ分かりません。
それでも生きている証には違いない。
何度も諦めかけたけど。
時間はすごくかかったけど。
根気よいお日様の恵と。
気まぐれな雨の愛情に育まれ。
ようやく顔を見せてくれた新しい命を。
引き続き見守りたいと思います。

人の成長も。
挫折からの立ち直りも。
時間がかかる時もあるでしょう。
それでも。
命育む環境がある限り。
いつかきっと芽吹きを迎える。
諦めない限り。
根気よく。
当たり前の愛情を注ぎ続ける。
焦らず急かさず。
その日を待つ。

隣にいた。
どっしりさん。
兄弟の息吹を待っていたのか。
立派な葉が伸びてきました。
不思議な不思議な自然の共演と。
言葉なき彼らの言葉に心を傾けながら。
大切に育てていきたいと思います。
元気に育ちますように。
大切なことを教えてくれて。
ありがとう。

飲んで飲んで飲まれて飲んで

6月10日
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今。
ビールを我慢しています。
稽古終え。
喉渇き。
風呂入り。
喉渇き。
いざって時に。
娘を駅まで迎えに行くことに。
我慢我慢とテレビを見てると。
小栗旬プレミアムモルツを美味そうに。
チクショー。
ちょっと早いけど迎えに行こ。

4月から高校生になった娘。
慣れない生活にフラフラになりながらも。
剣道に勉強にと頑張ってくれているようです。
ファイト!

それにしても。
餃子にビールはよく合う。

子供達と稽古させてもらい。
娘を迎えに行き。
家でテレビ見ながら一杯やる。
ささやかなる幸せは。
かけがえのない幸せであろうと。
四十五にして思う。
年取ったのかなぁ。
残りの人生も。
みなさん頑張っていきましょ。
同士。

覚悟

6月6日
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戦いを前に何を思う。
逆に何を思えば戦い抜くことができたのか。
ど真剣に向かってくる相手を迎え打つだけの気迫は備わっていたか。
自信を裏打ちするだけの準備はできていただろうか。
逃げてはいなかったか。
勇気はどうだったか。

今日は。
令和3年度甲賀市民春季剣道大会。
部門別の個人戦
結果は。
低学年の部で優勝と準優勝。
高学年の部で第3位。
高校生女子の部が優勝と。
4名の選手が上位入賞を果たしてくれました。
優勝した2名にもまだまだ課題はあるけれど。
結果に相応しい準備と。
当日の意気込みがあったものと思います。

私が悔しいのは。
自分の力を出し切れずに敗れてしまった子。
勝負を前に自分に負けていた子がいたことです。
けれどもそれは。
指導者である私の責任。
今日の彼ら彼女らの悔しい涙を胸に刻み。
暑い夏に向け再スタートをきりたいと思います。
暑い夏から熱い夏へと。
前進あるのみ。

一子相伝

6月2日
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昔。
家内に嫌がられたので封印していた北斗神拳を。
ついに解き放つ日がやってきたのです。

最近稽古をしていると突然。
痛っ。
と言って足を気にする子がいます。
となると少し見学させたりもするわけですが。
稽古が終わると走り回っている。
そんな事が時々ありました。
今日も同じく。
痛っ。
先生足に何か刺さりましたと気にする様子。
ちびっ子集めて足の裏を観察するも。
何もなく。
はて。
どうしたものかと思案の結果。
よし。
先生が北斗神拳で治してあげようと。
先生何それ。
子供達は興味津々です。
足の痛みをとる秘孔を突くんだよ。
ハァァァァーッと気をためて。
ワァチャァァァァーッ!
と足の裏をひと突き。
静まり返る道場に。
固唾を飲んで見守るちびっ子達。
すると当の本人の口から。
なっ 治った。
と。
先生すご〜いとか言われ。
その後は最後まで元気に稽古をしてくれました。

本来は2000年の歴史を持つ暗殺拳も。
トキのように肉体の治癒に役立てようとする使い手もいる。
強さは誇示するためのものではなく。
人のために備えるもの。
そう導くのが私の役目。
それが剣道。
活人剣。

心を整える

5月30日
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最近好きなのは。
少し早めに一人で道場に行き。
準備を行うこと。
窓を開けると空気が流れ。
清しい気持ちになる。
静寂の中。
紐を結束する音が身を引き締める。
少し柔軟をして。
竹刀を振る。
体慣らしも道場一杯に。
贅沢な時間。
一人の好きなところは。
自分と向き合えるところ。

そうこうしていると。
一人また一人と門下生が。
こんにちはと挨拶を交わしつつ。
先生モードへと切り替えます。

いよいよ来月には。
昇級審査会と市民大会が開催されます。
十分に準備を整え。
戦う気持ちを忘れずに。
己の剣道を全うして下さい。

稽古後は。
チームの団結を図るべく。
みんなで少し遊びました。
稽古してる時より元気で俊敏に動く子供達。
突っ込みたい気持ちも。
梅雨の晴れ間 水に流し。
風に身を委ねるのでありました。
好天。

至誠一貫

5月24日
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これほど嬉しいことはない。
仲間が仲間を呼び剣道の輪が広がること。

今日は第19回目のオープン稽古会。
コロナ情勢を見つつ。
ギリギリに判断し開催に踏み切った。
にも関わらず。
高校生の教え子が仲間達を連れ現れ。
大学生の女の子も約2年ぶりに顔を見せてくれた。
皆勤賞の隣町のお父さんは息子さんを連れ参加して下さり。
後輩の道場からは。
新しい剣友を連れてのご参加。
そこに高校生の教え子達も加わり。
私がずっと思い描いていた大輪のオープン稽古会を開催することができた。

迷い。
多くの中高校生の参加を受け。
一瞬。
中高生の迷惑とならぬよう。
小学生と分けての稽古を思案した。
が。
やはり。
唯心会の心の醸成を目的とした剣道の趣旨に則り。
大人子供練度に関わらず共に剣を交えることにした。
せっかく来てくれた高校生達には申し訳ないかと思いつつ。
しかし。
元立ちが下手な子供達に優しく手解きしてあげる姿や。
小さい子相手に。
腰をかがめ打たしてあげている姿を見。
これで良かったと思えた。

最後に。
勝負の最前線で日々戦う中高生諸君。
今日は稽古に来てくれて本当にありがとう。
日頃は力の限り稽古に励んでいることと思います。
けれども小さい子に力の限りでは傷つけてしまう。
だから小さい子とは心の限り稽古する。
君達の中には将来指導に携わる者もいるかもしれない。
その時。
今日の稽古を思い出して欲しい。
常に。
どうゆう立場の人が稽古をしているか見ることのできる大人になって欲しい。
それが剣道。
それが人間形成。
心の限り。

可愛らしい師匠

5月20日
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ファイトー!
と彼が声をかけたのは。
稽古終え。
一人で一生懸命面をとる。
一年生の女の子。

整列中に応援することはさておき。
その微笑ましい姿と。
彼の優しさを。
チームメイトへの思いやりの気持ちとして。
みんなの前で褒めてあげました。

この二人。
休憩前の面をとる時は。
女の子が先にとり。
男の子が手こずっていたのを。
助けてあげていました。
男の子が「ありがとう」と言うと。
女の子は「いいよ」と一言。


昭和の剣豪小川忠太郎先生の著『剣と禅』に直心について詳述されています。

少し要約させていただくと。
直心とは。
此れ則ち素直で正直な心。
直心は修行して身に付けるのではなく生まれ持ったもの。
この心を汚さないようにするのが修行であると。

今日の稽古の小さな2人の振る舞いに。
人として生まれ持った大切な心を見。
その心を育み伸ばしてあげることが私たち大人の使命であると。
改めて痛感させていただくのでした。

2人の豆剣士達。
ありがとう。
これからもそのまま大きくなるんだよ。
先生も。
君達の優しき心を汚さぬよう。
修行していきたいと思います。
感謝。